GARMIN Forerunner 955 Dual Powerを半年以上使い続けて,ソーラー機能のみのレビューをします.
結論から言うとGARMIN Forerunner 955 Dual Powerのソーラー機能はちょっとイマイチだな…と感じました.
すでに後継機種のGARMIN Forerunner 965が発売されていて,965にはソーラーのついたラインナップがありません.もしソーラー機能の有無で955 Dual Powerと955/965で悩んでいる人がいるならば,ほとんどの人がソーラー機能のない955/956で満足できると思います.
Dual Powerと無印で少しでも悩んでいる人がいれば,参考になればと思い書き残しておきます.
955 Dual Powerのソーラー機能がイマイチだと言うことを書くわけですが,モノ自体はすごく気に入って使っていて,大きな不満はありません.
私の使い方でソーラー機能必要無いな…というところにフォーカスして書いています.機能が多くて困るわけではなく,価格差分のメリットを感じれなかったというだけです.
また,私の使い方では…という話で,ソーラーがあってとても良い!という使い方の人もいるはずです.
GARMIN Forerunner 955 Dual Powerを買った経緯
もともとGARMIN Vivoactive3を使用していて,Forerunner(ForeAthlete)系の製品で初めてタッチパネルの製品が出たためForerunner 955 Dual Powerに買い替えました.
Vivoactive3でタッチパネルがあることの便利さ・直感性の良さを感じたため,タッチパネルで操作できるということに惹かれました.(ガラケーからスマホに乗り換えたときの感覚に似た感じ)
ボタン操作だけも困りませんが,どのボタンで何が起きるのか・長押しをするとどうなるのか等を覚えなくても,なんとなく扱える良さがあります.
Forerunner 955にはソーラー充電機能のついたDual Powerと,ソーラー充電機能のない無印があります.どちらにするか悩みましたが,もともと使っていたvivoactive3でGPSをOnにしていると8時間ほどの登山の途中でバッテリーが切れてしまって残念な思いをしたため,ソーラー充電で長く使えるはずのDual Powerを選びました.
無印とDual Powerでソーラー充電以外の機能の違いはなく,価格差は1万円ほどでした.
稼働時間の仕様比較
GARMINの公開している稼働時間の仕様は下記にようになっています.
Forerunner 955 Dual Power | Forerunner 955 (無印) |
スマートウォッチモード: 約 15 日間+5 日間* GPSモード: 約 42 時間+7 時間** マルチGNSSマルチバンド+音楽再生モード: 約 8.5 時間 マルチGNSSマルチバンドモード: 約 20 時間+2 時間** Ultratracモード: 約 80 時間+30 時間 ** *ソーラー充電、50,000ルクスの条件で1日3時間の屋外での終日着用を想定 **ソーラー充電、50,000ルクスの条件での使用を想定 | スマートウォッチモード: 約 15 日間 GPSモード: 約 42 時間 マルチGNSSマルチバンド+音楽再生モード: 約 8.5 時間 マルチGNSSマルチバンドモード: 約 20 時間 Ultratracモード: 約 80 時間 |
違いはソーラー充電の「+○時間」があるかどうかです.
この仕様を比較して「スマートウォッチモードで5日も伸びるのか!」と思ってForerunner 955 Dual Powerを購入しました.
実際に使ってみたら,思ったより充電しない
実際に使っていてわかったことは,平日室内で仕事をする私の生活では,ほとんど充電されないということです.
画面でソーラー強度というどれくらい発電できていたのかを見ることができますが,仕事中に日に当たらない私の生活ではこんな感じで,ほとんど充電できないソーラー強度です.
また,快晴の日にハーフマラソンに参加したときのソーラー強度が下のグラフです.
ほぼ日陰のないコースでしたが,ずっとソーラー強度が100%になるわけではなく,大きく変動しています.
100%のときは腕の向きが太陽に向いているときで,それ以外のときはソーラー強度が25%程度まで落ちてしまっています.
なぜあまり充電できないのか
発電面の面積の課題
ディスプレイ式のスマートウォッチは発電面を大きく取ることができないという課題もあります.文字盤のほとんどを表示のために液晶にしているわけですからディスプレイ部分を避けた僅かな部分にのみソーラーが設置されています.Forerunner 955 Dual Powerではディスプレイの外周の少しの部分に発電面があるだけです.
消費電力の課題
普通のソーラーウォッチ(日時を刻むだけのもの)では少しの光でも十分充電できるのに,なぜGARMIN Forerunner 955 Dual Powerではあまり充電しないのか.
そもそもGPS・心拍計・加速度センサなどの機能を持たない普通の時計は消費電力が非常に少ないです.
普通のソーラーウォッチは時間を刻み,針を動かすor単純な液晶表示だけで済みます.
スマートウォッチは時間を刻みディスプレイを表示し続ける以外に,歩数計のための加速度センサや心拍計測のためのLEDやセンサを稼働させ続ける必要があります.
必要な電力が大きいので,スマートウォッチの充電のためにはたくさん発電する必要がありますが,そこまでの発電能力がありません.
要するに発電していないのではなく,消費電力が大きくソーラー充電がそれに追いつかないということです.
光の当たり方の課題
屋外にいたとしても,ずっと太陽に時計を向けるわけではありません.上記,ハーフマラソン時のソーラー強度から分かる通り,逆を向くこともある…どころかかなりの時間は太陽に向かっていません.
実際に使ってみると,ソーラー充電できるタイミングというのは思っている以上に少ないということがわかりました.
また,夏は半袖などの薄着で生活しているので,まだ充電しやすいですが,冬は長袖を着て腕時計が隠れてしまうことが多いです.スキーや雪山登山中なんて,完全に腕時計が隠れてしまってほとんど充電できていませんでした.(ウェアやグローブの上から装着する人もいますが,心拍が取得できなってしまいます)
私の使い方では日光がしっかり当たりそうなときは,春~秋にかけてランニングや登山しているときになるのですが,こういうときはGPS機能を有効にしているため,ソーラーで多少稼働時間が伸びていたとしても消耗が激しく,結局運動後普通にケーブル経由で充電しておかないとならないくらいバッテリーが消費しています.
必要な明るさ・時間の課題
Forerunner 955 Dual Powerの仕様には下記のように書かれています.
*ソーラー充電、50,000ルクスの条件で1日3時間の屋外での終日着用を想定
**ソーラー充電、50,000ルクスの条件での使用を想定
50,000ルクスがどれくらいのものなのかを調べると大阪市立科学館のWEBページには下記のように書かれています.
晴天昼太陽光 | 100,000ルクス |
晴天午前10時太陽光 | 65,000ルクス |
晴天午後3時太陽光 | 35,000ルクス |
曇天昼太陽光 | 32,000ルクス |
曇天午前10時太陽光 | 25,000ルクス |
パチンコ店内 | 1,000ルクス |
百貨店売場 | 500~700ルクス |
蛍光灯照明事務所 | 400~500ルクス |
スマートウォッチモードでは「ソーラー充電、50,000ルクスの条件で1日3時間の屋外での終日着用を想定」ということは,毎日,晴天で,昼に3時間,日向に出続けることで+5日が実現されるということです.
これは私には現実的な生活ではありませんでした.
GPSモード,マルチGNSSマルチバンドモードでは「ソーラー充電、50,000ルクスの条件での使用を想定」ということで,ずっと50,000ルクスが時計に当たっている状態で使っていると+7時間(GPSモード),+2時間(マルチGNSSマルチバンドモード)ということです.
上記の快晴でのハーフマラソンのソーラー強度を見てもらえば分かる通り,そんなに日光が当てることはとても難しいです.
仕様として公開されていることなので,ちゃんと事前に調べて考えればわかったことです.
普通のソーラーウォッチ(スマートウォッチではない)のように,ソーラー機能があればバッテリー交換不要というようなイメージで考えて,同じレベルを期待してはいけません.
Forerunner 965
2023年4月にForerunner 965が発売されました.
この新しい機種は,Dual Power(ソーラー充電機能)がラインナップにありません.
Forerunner 955 Dual PowerとForerunnner 965の稼働時間の仕様は下記のようになっています.
Forerunner 955 Dual Power | Forerunner 965 |
スマートウォッチモード: 約 15 日間+5 日間* GPSモード: 約 42 時間+7 時間** マルチGNSSマルチバンド+音楽再生モード: 約 8.5 時間 マルチGNSSマルチバンドモード: 約 20 時間+2 時間** Ultratracモード: 約 80 時間+30 時間 ** *ソーラー充電、50,000ルクスの条件で1日3時間の屋外での終日着用を想定 **ソーラー充電、50,000ルクスの条件での使用を想定 | スマートウォッチモード: 約 23 日間 GPSモード: 約 31 時間 マルチGNSSマルチバンド+音楽再生モード: 約 8.5 時間 マルチGNSSマルチバンドモード: 約 19 時間 |
Forerunner 965は,有機ELディスプレイになったことで,圧倒的に画面が見やすくなったことが大きな変化点です.
ソーラーが最初からないので,端までディスプレイになっているのも良いです.
まとめ
一日中屋外で生活していても,充電能力の100%を発揮できているわけではありません.
仕様に記載されているほどの光量・充電時間を得ることは難しく,私の生活にはソーラー充電機能はほとんど効果のないものでした.
デメリットということではなく,あくまで価格差分のメリットが感じられないということです.
現状のソーラー機能ではスペックにかかれているよう条件で使用するのはとても難しいため,今買うのであればGARMIN Forerunner 965をオススメします.
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